地積更正登記とは?——「面積を直す手続き」と思っている方へ、29年の実務から本当の価値をお伝えします
測量をした結果、実際の面積と登記されている面積が違っていたとき、地積測量図を添付して面積を正しく直す登記——それが「地積更正登記」です。
教科書的な説明はこれで終わりです。しかし、29年この仕事をしてきた立場から言わせていただくと、地積更正登記の本当の価値は「面積を直すこと」ではありません。
本当の価値は、法務局に「お墨付きの図面」が備わること
地積更正登記をすると、最新の測量機器で作成した地積測量図が法務局に備え付けられます。現代の地積測量図は、昔の図面とはまったく別物です。座標値で管理され、公共基準点や引照点と結び付いているため、将来、境界標が工事などで失われても、正確に元の位置を復元できます。
土地の境界には、「その境界は正しいのか」「境界標がなくなったとき、正しく復元できるのか」という問題が常について回ります。いつでも復元できるお墨付きの図面が法務局に備わっている土地は、境界が確定している土地とみなすことができる。ここに大きな意味があります。
境界が確定している土地は、それだけで価値が上がる
境界が確定している土地は、売買でも建築でも、すぐに取り掛かることができます。買主も金融機関も安心して取引でき、実際、土地の売買では地積更正登記(確定測量)が契約の条件とされることが多くあります。逆に言えば、確定していない土地は、適正な価格で売却することが難しいのです。
しかも、現在の地積測量図に求められる精度や現地復元性の基準は昔より格段に高いため、一度きちんとやっておけば、再度やり直す必要は原則ありません。土地に対する一生モノの投資と言えます。
面積が合っていても、安心できないケースがあります
意外に知られていませんが、地積更正登記を検討すべきなのは面積が違うときだけではありません。境界点間の距離(辺長)が、昔の図面と比べて基準値(公差)を超えてずれている場合も、やっておくべきです。そのままでは、いざ土地を分筆しようとしたときに、分筆登記ができない可能性があるからです。
※ご自身の土地のずれが公差の範囲内かどうかは、当事務所の公差計算シミュレーションで確認できます。
プロが必ずチェックする「〇番1」の土地
もう一つ、実務家の着眼点をお伝えします。地番の枝番が「1」の土地——たとえば「100番1」のような土地は、注意が必要です。
こうした土地は、もともと大きな一筆の土地から、長い年月をかけて次々に分筆されてきた「残地」であることが多いのです。昔の分筆は、切り出す土地だけを測って、残りは引き算で面積を出す「残地求積」が一般的でした。仮に、登記上1000㎡・実際は950㎡の土地が10筆に分筆されていったとすると、50㎡の不足分のしわ寄せは、すべて最後に残った「〇番1」に集まります。実際は100㎡あるのに登記は50㎡、といった極端なずれが残っていることさえあるのです。
「〇番1」の土地をお持ちの方、購入を検討している方は、過去に地積更正登記がされているかのチェックが大切です。
「固定資産税が上がるから」と先延ばしにしていませんか
地積更正登記をすると面積が増えて固定資産税が上がるのでは——と心配して、手続きをためらう方がたまにいらっしゃいます。しかし経験上、面積が大幅に増えるケースはまれで、増えるとしても微増にとどまることがほとんどです。
それよりも恐ろしいのは、先延ばしのリスクです。理由は2つあります。
理由①:隣地の承諾は「隣地次第」だから。 地積更正登記の前提となる境界確認には、隣接地の所有者の方のご協力が必要です。これは自分の意思だけではどうにもなりません。隣地が代替わりする、遠方に転居される、所有者が変わる——状況は年々変化し、今なら取れる承諾が、10年後に取れる保証はどこにもないのです。やれるときにやっておく。これに尽きます。
理由②:相続には「10か月」の壁があるから。 相続した土地を売却して相続税の納税にあてる場合、納付期限は相続開始から10か月以内です。このとき確定測量が済んでいないと、境界確認から始めて売却まで、相当にシビアな工程を強いられます。間に合わなければ、大変なことになります。ご自身のためだけでなく、土地を受け継ぐご家族のために、元気なうちに境界を確定しておく——これも立派な相続対策です。
まとめ
地積更正登記は、単なる面積の訂正ではなく、「境界が確定した、いつでも動かせる土地」という資産価値を手に入れる手続きです。そして、隣地のご協力が得られる「今」が、いつでも最良のタイミングです。
ご自身の土地はどうなのか気になった方は、どうぞお気軽にご相談ください。登記情報から現状を確認し、必要な手続きをご案内します。
